2008年12月31日水曜日

息吹

photo by Panasonic DMC-FX35


神が住まうという幹に

再生の息吹が伸びていく

古来の姿を覆いながら

再び始まる歴史を目指し

天に向かって伸びていく

2008年12月30日火曜日

月の残像

photo by Panasonic DMC-FX35

ねぇ                
君は覚えているかい     
二人で並んで歩いた景色を

僕が集めた月の光を    
君は優しく身にまとい    
微笑みたたえた唇に    
軽く指先携えて       
寒くないよと小さな声で   
優しい風に口づけて     

ねぇ                 
君は寂しくないかい      
一人でこんな景色の中で  

 眩しいくらいの月明かりに  
心の隅まで照らされて   
届ききらない懺悔の思いと
触れることなき指先と   
一人で行くよと小さな声で
優しい笑顔で振り向いて  






2008年12月29日月曜日

対岸

photo by Panasonic DMC-FX35

ガランガランと鉄橋を

走り抜けていく夜の電車は


付近の空気を揺さぶって

水面を少し震わせて


佇む僕の目の前を

光となって進み行く


すぐそこにある対岸へ

渡る事ができぬまま


僕は軌跡を見送って

心をガランと震わせた









2008年12月28日日曜日

朝の波紋

photo by Panasonic DMC-FX35

時がゆっくり動き出し

光に乗って風が届く

朝がようやく色彩を

金の光で取り戻す

雲の狭間をたおやかに

流れはじめた旋律が

天に被さる半球に

波紋のように広がった

2008年12月27日土曜日

風の夜

photo by Panasonic DMC-FX35

風が黒を磨き上げ

彼方の星を招き寄せ

遍く空の果てまでも

細き輝き散りばめる





2008年12月25日木曜日

特別な夜

photo by Panasonic DMC-FX35


特別の夜の街角は

まばゆい光が満ちていて

小さな小さな鈴の音が

心を少し暖めて

寒さを束の間遠ざける

2008年12月24日水曜日

26番目の早朝に

photo by Panasonic DMC-FX35



月の形で測れる物は


君とさよならしてからの


しょぼくれちまった僕の背中と


あの日泣いてた僕の心と


離れ続ける君との距離と







放射線

photo by Panasonic DMC-FX35


白い空気を金に染め

朝の光が拡散する

広がり続ける放射の線は

僕の心を照らすだろうか

2008年12月22日月曜日

風車の風景

photo by Panasonic DMC-FX35

夜空に向かい佇んで

動きを止めた風車の羽に

神話となった星達が

そろりと集まり瞬いた






冬枯れの夜桜

photo by Panasonic DMC-FX35

冬の夜

桜並木は

影絵になって

星からの

細き光に

身を震わせる






2008年12月21日日曜日

群れる鉄塔

photo by Panasonic DMC-FX35

見渡す限りの鉄塔が

次から次へとやってきて

僕を跨いで行くような


見渡す限りの鉄塔が

景色の奥で身を寄せ合い

企み話しているような





夕日への軌道

photo by Panasonic DMC-FX35

夕日に向かって伸びていく

銀に輝く軌道の先が

君の心に行き着かないかと

消失点を透かしみる

2008年12月19日金曜日

下弦の月

photo by Panasonic DMC-FX35


下弦の月は

寂しいね

半欠けになった僕なんかでは

君の中身を埋められない







2008年12月18日木曜日

空の綾



photo by Panasonic DMC-FX35

空の中に編み上げられた

網の上に光が乗っかり

僕の周りを照らし出す












夕暮れ色


photo by Panasonic DMC-FX35


潮の香りが少しだけ

漂い流れるこの街で

影絵の路地が縁取った

夕暮れ色の空を見上げる



行き交う人の雑踏から

解き放たれた光と雲が

想いの行方を指し示し

夕暮れ色の心を映す










光の岬



photo by Panasonic DMC-FX35

岬は光が充ち満ちて

夜に向かって拡がった

空も海もうっすらと

白い光が染め上げる

僕は岸辺に身を置いて

切ないほどに立ち尽くし

光の幕に覆われた

対の岬に憧れる











2008年12月17日水曜日

哀情



photo by Panasonic DMC-FX35


青い空と

薄羽の様な白い雲と

そこに吹く風は


言えなかった言葉や

哀しかった想い出で

きらきら輝いているんだよ





クレパス色



photo by Panasonic DMC-FX35

クレパスの色調で

彩り含んだ風景は

少しかすれた風合いで

ぬくもり伝える手触りと

毛糸のマフラー思い出す


2008年12月16日火曜日

十七夜





photo by Panasonic DMC-FX35


一人見上げる十七夜

心細さが寂しさか

涙するのは誰がためか

天空の譜面



photo by Panasonic DMC-FX35

空に引かれた罫線に

鳥がするりと入り込み

風に乗って流れゆく

細き旋律爪弾いて

冬の音色を奏で行く




2008年12月15日月曜日



photo by Panasonic DMC-FX35

光の海を進む船

きらきら光を押しのけて


波間で砕ける輝きは

欠片となって広がって


僕の周りに充ち満ちた

幸せなどに似ているか














2008年12月13日土曜日

15番目の軌跡



photo by Panasonic DMC-FX35


地平線からまんまるの

月がひょっこり顔をだす

奇跡の有り様を汎化して

疑いようのない存在感が

不思議の景色を捧げつつ

常識だよと囁いた


刹那の秒針



photo by Panasonic DMC-FX35


過ぎゆく時が空に映え

刹那を色に変えていく

細の時を司り

動きを刻み進み行く




photo by Panasonic DMC-FX35


僅かに光が滲み行く

夜の空を見上げれば

瞬きの間に軌跡を残し

星はゆっくり昇り行く



2008年12月8日月曜日

モノクロのイルミネーション



photo by Panasonic DMC-FX35

寒さに震える小枝の先に

小さな星をそっと乗せれば

待ちこがれていた奇跡のように

聖なる夜は訪れる




2008年12月7日日曜日



photo by Panasonic DMC-FX35


緋色(ひいろ)
臙脂(えんじ)
茜色(あかねいろ)

濃緋(こきひ)
漆黒(しっこく)
猩々緋( しょうじょうひ)



2008年12月5日金曜日

霧の朝



photo by Panasonic DMC-FX35

ある朝 地上の半分は

空の一部に 融け込んで

白き光が 満ちていく


ある朝 僕の半分は

夢の一部に 融け込んで

輪郭だけが 浮き上がる







2008年12月3日水曜日

減速の時



photo by Panasonic DMC-FX35


喧噪の水平線が
昼と夜との境界を示し

止まってしまった歯車と
流れ続ける時と空気が

僅かにバランスを保ちながら
藍と紅を混ぜていく


静寂の水平線が
夜と昼との境界を示し

変わり続ける空の色と
止まってしまった時と空気が

僅かにバランスを保ちながら
ゆっくり色彩を失っていく