2009年1月28日水曜日

朝の始まり

photo by Panasonic DMC-FX3



テールライトを追いかけて

走り抜けた夜の彼方に

見たこともない緑光が

薄く薄く広がった


全ての波長を含んだ光は

澄んだ空気のプリズムで

分光されて連なった

スペクトルを描き出す







2009年1月27日火曜日

ひとり

photo by Panasonic DMC-FX3


悲しみに似た茜の空は

向かう先を示しもしないで

儚き時を身に纏い

静かに蒼の蔭へと変わる





2009年1月26日月曜日

水鏡

photo by Panasonic DMC-FX3


時の流れが止まった川は

いつまでも

いつまでも

君への思いを映し込む















2009年1月24日土曜日

高架

photo by Panasonic DMC-FX3


低い軌跡の太陽が

軌道に沿って進み行く

色の温度が低いまま

時の歩みに付き添って

高い所に掛けられた

細き架線をかすめ行く










2009年1月22日木曜日

残光

photo by Panasonic DMC-FX3



残光の

緋色が一際

厚さを増して

風を受け

影絵のような

輪郭が滲む




2009年1月21日水曜日

月光浴

photo by Panasonic DMC-FX35


こんなに月が眩しくて

光も影も見えるのに

一人佇む湖畔での

月光浴は寂しからずや

2009年1月20日火曜日

琥珀の朝

photo by Panasonic DMC-FX35



琥珀の様な空が広がり

色相を同じくした濃淡が

朝の輪郭を縁取って

影の色をも染め上げた







2009年1月19日月曜日

靴音

photo by Panasonic DMC-FX35


足早に
 
僕の前を

通り過ぎる


規則正しい

ハイヒールの音が


サヨナラを

繰り返し繰り返し


僕に向かって

伝え続ける


思い出に

片づけてしまえるほど


時間は

過ぎているのかな


君の

ハイヒールの色を


僕はまだ

覚えているかな




2009年1月18日日曜日

星の集まり

photo by Panasonic DMC-FX35


月の見えない夜だから

小さな星の集まりが

こんなに近く見えるのに

君が見えない夜だから

小さくなった心の欠片

こんなに切なく震えてる






偲ぶ

photo by Panasonic DMC-FX35


ずいぶんずいぶん長い間

待ち続けた思いは

白い空気に包まれて

静かに朝の流れに溶けて

再び訪れる夜を偲ぶ




冬の朝

photo by Panasonic DMC-FX35

朝の光が射し込んで

景色を白く染め上げた

生まれたばかりの光の羽は

僕の体も包み込む



2009年1月17日土曜日

雪の風紋

photo by Panasonic DMC-FX35


雪の描いた風紋は

空の色を閉じこめて

か細く響く旋律に似た

碧い陰影描き出す




2009年1月16日金曜日

月出

photo by Panasonic DMC-FX35

見渡した風景の彼方に

月が出

仄かに地平へ色を添え

グラデーションが広がって

夜を薄めて照らし出す




2009年1月15日木曜日

水に映る月

photo by Panasonic DMC-FX35


ゆらゆらと

捕らえどころのない輪郭が

きらきらと

水面の上を小さく踊る

ひゅうひゅうと

風が心の中を抜け

次々と

悲しみ色が広がった

2009年1月14日水曜日

白の森



photo by Panasonic DMC-FX35


暗が反転したかのような

針葉樹の濃い緑と

白い木立のコントラストが

夢と現の境目を

曖昧な色で埋めていく


2009年1月13日火曜日

綾の海

photo by Panasonic DMC-FX35

穏やかなグラデーションを断ち切って

綾の水面が永遠に広がる

水平線の彼方に浮かぶ

小さく見える船の影が

どうしようもなく寂しげで

景色の中に心を置いて

夢の続きを探してる

染色


photo by Panasonic DMC-FX35

朝のプリズムが光を分かち

藍と白との狭間の時を

色鮮やかに染め上げた



2009年1月8日木曜日

夜の遊園地

photo by Panasonic DMC-FX35


空虚を描く観覧車に

交わることのない軌跡が重なり

通りすがりの時間の影が

ゆるりと支柱にからみつく

寒さに背中を丸めたら

一人の時が浮き上がる








2009年1月6日火曜日

光のヴェール

photo by Panasonic DMC-FX35

空と雲との陰影が

ヴェールのように柔らかい

綾の光を織りなして

高いところを流れ行く

風にきらりと翻る






2009年1月4日日曜日

夜の観覧車

photo by Panasonic DMC-FX35

かろろん

かろん


音をたて

乗る人のない

ゴンドラは

光と供に巡り行き

夜をゆっくり撹拌す

2009年1月3日土曜日

上弦の月に

photo by Panasonic DMC-FX35

儚く輝く上弦の

月が照らした冷めた大地で

時が経つのを待ち続け

刹那の時を待ち続け

向かう先が定まらず

戸惑い覚え立ち尽くす



2009年1月2日金曜日

三日月

photo by Panasonic DMC-FX35

生まれたばかりの三日月は 

降りたばかりの夜との狭間に

輝き増したる星を従え    

冷たい風に震えながら    

僕の心を映してた      



2009年1月1日木曜日

photo by Panasonic DMC-FX35

繰り返し繰り返し刻まれる
定期的な鼓動は
宇宙の動きとつながって

繰り返し繰り返し揺れ続ける
心までも
その仕組みに組み込まれる

繰り返し繰り返し繰り出される
365枚の歯車は
滑らかな動きで朝を送り出し

繰り返し繰り返し訪れる
後悔までも
金色の光で浄化し続けていく